2016年 12月 16日
能DVD 『道成寺三題』 紀伊國屋書店(平成12年 109分) |
同じ演目を別の演者や流儀の違いで見比べるというのも、能の楽しみのひとつかと思う。
特に『道成寺』はみどころ満載。
流儀による演目の見解によって装束、面も微妙にニュアンスが異なる。
更にシテを演じる方による考えやその日の趣向によっても細部の演出が異なる。
もっと言うと、狂言方、拍子方、ワキ方の流儀の違いでもうそれはそれは七変化なのである。
『道成寺』のあらすじはこちら↓
能DVD 『道成寺三題』 紀伊國屋書店(平成12年 109分)
観世清和(観世流)
梅若六郎(玄祥 観世流)
塩津哲生(喜多流)
このDVDには平成12年(2000年! ミレニアム記念で制作されたのかな。。。)に催された上記三人のシテ方による『道成寺』の部分的ではあるけれども、たっぷりと舞台の気迫を楽しむ事ができる。
個人的にはそれぞれの素晴らしさ見どころに感嘆しつつも、最後の喜多流シテ方 塩津哲生(あきお)さんの白拍子/蛇体には圧倒されてしまった。
DVDの中でも解説されているように、舞や動きはとても鋭角的。
そして本当に豪気で最初から終わりまで野趣溢れる気迫で満ちている!
一瞬とも目が離せない。
場所も山梨県八ヶ岳身曾岐神社能楽殿での薪能とあって、刻々と陽が沈み水辺に浮かぶ能舞台がひと際輝きを増してくる様は美しいのひと言。
加えて薪の灰が蝶のごとく飛び交い、シテの憑衣的な存在感によってこの世とは思えない幽玄の世界を見せてくれる。
この映像をみて、いつか山梨県八ヶ岳身曾岐神社能楽殿で薪能を観てみたいと必ず思うはず!
前半の観世清和さん、梅若六郎(玄祥)さんはともに観世流。
シテの白拍子はぎりぎりまで表情・感情表現というものを抑え、それゆえに観客の心にその感情を換気させる。
その手法は見事なもので、とても鮮麗されている。
鐘入り直前の乱拍子まで、究極に抑えられていた感情は急之舞で炸裂し、凄まじいエネルギー(執心)のまま鐘入りへ。
鐘が上がった後に現われる蛇体は身体が小刻みに震えているかのよう。
愛する人による裏切りに屈辱感をおぼえ、蛇身になってしまった我が身を嘆き恥じる羞恥心など様々な心情が観る者に訴え掛けられる。
喜多流と比べてそれ程ストレートには表現せず、内に内に秘めるそれらの心情のヒダがシテの絶妙にコントロールされた所作によって体現されている。
能に興味を持った方々にぜひ観ていただいきたい一本。
特に『道成寺』はみどころ満載。
流儀による演目の見解によって装束、面も微妙にニュアンスが異なる。
更にシテを演じる方による考えやその日の趣向によっても細部の演出が異なる。
もっと言うと、狂言方、拍子方、ワキ方の流儀の違いでもうそれはそれは七変化なのである。
『道成寺』のあらすじはこちら↓
能DVD 『道成寺三題』 紀伊國屋書店(平成12年 109分)
観世清和(観世流)
梅若六郎(玄祥 観世流)
塩津哲生(喜多流)
このDVDには平成12年(2000年! ミレニアム記念で制作されたのかな。。。)に催された上記三人のシテ方による『道成寺』の部分的ではあるけれども、たっぷりと舞台の気迫を楽しむ事ができる。
個人的にはそれぞれの素晴らしさ見どころに感嘆しつつも、最後の喜多流シテ方 塩津哲生(あきお)さんの白拍子/蛇体には圧倒されてしまった。
DVDの中でも解説されているように、舞や動きはとても鋭角的。
そして本当に豪気で最初から終わりまで野趣溢れる気迫で満ちている!
一瞬とも目が離せない。
場所も山梨県八ヶ岳身曾岐神社能楽殿での薪能とあって、刻々と陽が沈み水辺に浮かぶ能舞台がひと際輝きを増してくる様は美しいのひと言。
加えて薪の灰が蝶のごとく飛び交い、シテの憑衣的な存在感によってこの世とは思えない幽玄の世界を見せてくれる。
この映像をみて、いつか山梨県八ヶ岳身曾岐神社能楽殿で薪能を観てみたいと必ず思うはず!
前半の観世清和さん、梅若六郎(玄祥)さんはともに観世流。
シテの白拍子はぎりぎりまで表情・感情表現というものを抑え、それゆえに観客の心にその感情を換気させる。
その手法は見事なもので、とても鮮麗されている。
鐘入り直前の乱拍子まで、究極に抑えられていた感情は急之舞で炸裂し、凄まじいエネルギー(執心)のまま鐘入りへ。
鐘が上がった後に現われる蛇体は身体が小刻みに震えているかのよう。
愛する人による裏切りに屈辱感をおぼえ、蛇身になってしまった我が身を嘆き恥じる羞恥心など様々な心情が観る者に訴え掛けられる。
喜多流と比べてそれ程ストレートには表現せず、内に内に秘めるそれらの心情のヒダがシテの絶妙にコントロールされた所作によって体現されている。
能に興味を持った方々にぜひ観ていただいきたい一本。
by tukune1go
| 2016-12-16 22:45
| Noh 能